人生設計と期待値計算
こんばんは、まろたです。
この「各種試算」シリーズでは、これまで老後の生活と結婚の収支考察をしました。
今日はライフプランを立てる際に重要となる考え方についてお話ししたいと思います。
大きな投資の効果や災害等の損失を見積もる
ライフプランの作成にあたっては、様々な不確定要素(=リスク)を見積もる必要があります。
金額が大きいイベントはライフプランに与える影響も大きく、特に熟慮が求められます。
資産運用を目的とする投資や住宅の購入等がそれに当たるでしょう。
うまくいった場合の利益と倒産や地震などの損失を見積もり計算して人生設計に反映します。
また、家族の死亡やそれに備える保険の加入検討も、見積もりが必要となります。
見積もりに際して考えるべきは、「金額的なインパクト」と「発生確率」の2つです。
この2つは別々ではなく、両方同時に考慮する必要があります。
影響額×発生確率というのは、すなわち期待値です。
期待値計算は高校数学で確率の計算と共に習ったのではないでしょうか。
先日も高校倫理で習ったマズローの欲求5段階説を紹介しました。
色々無駄もあるでしょうが、個人的に学校の勉強は社会に出ても役立つと思います。
期待値がプラスかマイナスかをまず考える
期待値計算の具体例として、サイコロの出る目を計算している例を紹介します。
6面体のサイコロについて、出る目の確率を全て1/6と仮定します。
サイコロを1回振って出る目の期待値Eは
E=1×1/6+1×2/6+1×3/6+1×4/6+1×5/6+6×1/6
=21/6=3.5と計算できます。
この計算を使って、例えば住宅を購入した場合としなかった場合の期待値を比較するのです。
期待値がプラスになるかマイナスになるかを考えることが大切です。
そして、心がけるべきは「期待値がマイナスになることはやらない」ということです。
当たり前のようですが、長期的に安定したライフプランを描きたいなら重要なことです。
例えば宝くじを買う、パチンコをするというのは典型的な「期待値マイナス行為」です。
胴元が儲かるようにできているので、当然ですよね。
会社の利益を株主に還元する株式投資との決定的な違いです。
長期的な見通しが暗くて一発逆転が必要、という場合以外は手を出さない方が良いでしょう。
また、パチンコ等のギャンブルは特に依存性が高く、人生トータルでの回数も多くなりがちです。
試行の回数が多くなれば多くなるほど、試行の結果は期待値に近づいていきます。
上記のサイコロの例で、サイコロを振る回数を3回に増やして考えてみましょう。
サイコロを3回振って出る目のパターンは6の3乗通り、合計は3~18の間になります。
計算がかなり長くなるので割愛しますが、期待値は10.5です。
サイコロを1回振る期待値3.5の3倍ですから、1回あたりの期待値は変わりません。
ただ、出る目の合計それぞれの確率は大きく変わってきます。
下図のように、全体の期待値10.5に近づくほど確率が高くなっています。
約50%が9~12に集中しています。
サイコロを振る回数が多くなるほど、この山はより高く、細くなります。
以前株式投資における分散の効果を説明しましたが、これも同じ理屈です。
何度もパチンコに通えば、分散を効かせて確実にマイナスのリターンを達成できます。
最大損失を把握し、対応要否を検討する
期待値以外にもう一つ考えておかなければいけないことがあります。
それは、「最大でどのぐらいの損失が出る可能性があるか」ということです。
発生確率が低ければ、影響額が大きくても期待値は小さくなります。
しかし、発生した場合の損失が耐えられないほど大きいなら、対応が必要です。
代表的な対応手段としては、保険への加入が挙げられます。
例えば、若くして死亡することによる損失は期待値で言えば小さいです。
しかしもし死亡した場合、貯蓄が十分でなく生活ができなくなるなら保険は必要です。
保険はギャンブルと同じで胴元が儲かる仕組みですから、期待値はマイナスです。
「とりあえず保険」ではなく、本当に致命的な影響があるか見極めて加入する必要があります。